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スキンケア理論

犬の皮膚とコンディショニング

皮膚は生体が外の世界と接触する境界部であり、体を守るためのいろいろなバリア機能があります。正常な犬の皮膚は、表皮、真皮、皮下織で作られています。
バリアとして最も重要なのは表皮、特に一番外側にある角質層です。角質層はすでに死んでしまった角質細胞がぴったりシート状にくっついて何層にも重なり、さらに間に脂質(セラミドなど)がサンドイッチされています。
これが強力なバリアとなって体の生きている細胞を外界のさまざまな物質から守っています。

皮膚バリア模式図

正常なバリアを作るためには皮膚の細胞が正常に機能することが必要ですが、そのためには十分な水分が必要です。皮膚の水分は天然保湿因子(NMF :Natural Moisturizing Factor)に保持されています。なので、角質細胞の異常や脂質の異常はバリア低下の原因となります。
アトピーではNMF、脂質とも減少するのでAD(アトピックドライスキン)となり、バリア能も低下します。
また、脂質は多ければいいというわけではなく、脂漏症のような異常な脂質成分では、いくら十分な脂質があってもバリア機能は低下します。
バリアがなくなると、細菌や真菌、アレルギーの原因物質が皮膚に侵入しやすくなるとともに、皮膚の水分がどんどん蒸発していきます。
このバリア機能は機械で測ることができ、経表皮水分蒸散(TEWL)測定値と呼ばれます。